親犬紹介に母犬がいないのはなぜ?|見学で聞きたいこと

ブリーダーのサイトをいくつも見ていて、あることに気づきました。親犬を紹介しているページに、オスしかいないのです。立派な体格の写真と、血統書と、チャンピオンの称号。それが何頭も並んでいる一方で、母犬の紹介が見当たらない犬舎が少なくありません。子犬は母犬からも生まれてくるのに、と思ったのが始まりでした。この記事では、なぜそうなっているのかと、迎える側として何を確認すればいいのかを整理します。

紹介されているのは、たいてい種オス

親犬紹介のページを開くと、たいていオスが並んでいます。海外から輸入した血統、ドッグショーでの成績、体高や体重。情報量もかなり多いことが多いです。

これには理由があります。オスは外部のブリーダーから交配の依頼を受ける対象だからです。良い種オスを持っていれば、その犬自体が犬舎の看板になり、収入にもつながります。だから詳しく紹介する動機があります。

一方で、母犬を紹介しても外部から仕事は来ません。載せる商業的な理由がない、というのが構造的な事情です。

載せていない理由は、それだけではない

調べたり考えたりするうちに、他にもいくつか理由が浮かびました。

  • 頭数が多い。1頭のオスに対して母犬は複数いるのが普通で、全頭分のページを作って維持するのは手間がかかる
  • 入れ替わりがある。繁殖を引退した子を家庭へ譲渡している犬舎も多く、そのたびにページの更新が必要になる
  • 出産の前後は状態が変わる。体型や被毛が普段と違うため、写真を出しにくい時期がある
  • そもそも紹介する発想がない。サイトを作ったときの構成のまま、何年も更新していないケースもある

つまり、母犬を載せていない犬舎が不誠実だとは限りません。この点は先に書いておきたいところです。

それでも、迎える側は母犬のことを知りたい

そのうえで、私自身が迎える立場だったらどう思うかを正直に書きます。

まず毛色です。フレンチブルドッグの毛色は両親から受け継がれるので、片方しか分からないと、その子がどんな遺伝の組み合わせで生まれたのかが見えません。将来その子から繁殖する予定がなくても、毛色に関わる遺伝の話は健康の話とも地続きです。

次に体格と気質。母犬に会えれば、その子が成犬になったときの姿がある程度想像できます。子犬の時点では分からないことが、親を見ると分かります。

そして母犬がどんな状態で過ごしているか。何度目の出産なのか、この犬舎では1頭の母犬に何回出産させているのか。ここが見えないままだと、どうしても不安が残ります。子犬の値段の話をする前に、その子が生まれてきた背景を知りたい、というのが正直な気持ちです。

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法律で決まっていること

不安になったときの拠りどころとして、法令で定められている内容を知っておくと役に立ちます。繁殖に関しては、数値で決まっているものがあります。

項目内容
生涯の出産回数6回まで
交配時の年齢6歳以下。7歳に達した時点で出産回数が6回未満と証明できる場合は7歳以下
健康診断1年以上飼養する犬は、年1回以上の獣医師による健康診断。診断書は5年間保存
繁殖の適否繁殖に用いる個体は、雌雄ともに繁殖の適否について診断を受ける
帝王切開獣医師が行い、出生証明書と、母体の状態および今後の繁殖の適否に関する診断書の交付を受けて5年間保存

これは販売などを目的に繁殖する動物取扱業者が対象です。数字の是非についてはいろいろな意見がありますが、ここでは「決まりがある」という事実が大事です。

とくに注目したいのが、いちばん下の帝王切開の項目です。フレンチブルドッグはほとんどが帝王切開で出産する犬種なので、出産のたびに書類が発行され、犬舎に保存されていることになります。母体の状態と、今後も繁殖に使えるかどうかの診断まで含めてです。

つまり、母犬に関する情報は「記録として存在している」のです。サイトに載っていないだけで、聞けば答えられる犬舎は多いはずです。

見学のときに聞きたい5つのこと

サイトに書かれていないなら、見学で聞けばいい。そもそもお迎えの前に犬舎へ出向くことは法律で決まっているので、直接たずねる機会は必ずあります。そう考えると、確認したいのは次の5点です。

  • 母犬に会えますか。子犬だけでなく、産んだ母犬の様子を見せてもらえるか
  • この子は何回目の出産で生まれましたか。初産なのか、複数回目なのか
  • 1頭の母犬に、何回まで出産させていますか。犬舎としての方針を聞く
  • 繁殖を引退した子は、その後どうしていますか。家庭へ譲渡しているのか、犬舎で暮らしているのか
  • 帝王切開のあと、獣医師から今後の繁殖について何か言われていますか。診断を受けているかどうか

どれも、記録がある犬舎なら答えられる質問です。

聞き方には気をつけたい

ただ、この5つをそのまま並べて問い詰めるような聞き方をすると、相手は身構えます。相手は仕事として犬と向き合っている人で、こちらは初対面です。

おすすめは、疑うためではなく知りたいから聞く、という態度を先に伝えることです。「この子のお母さんにも会ってみたいのですが」「将来この子がどのくらいの大きさになるか知りたくて」といった入り方なら、自然な会話として成立します。

大事なのは答えの中身よりも、聞いたときにどんな反応が返ってくるかだと思います。すらすら答えてくれるか、記録を見せてくれるか。それとも話をそらされるか。そこに出るものは、書類の数字より正直です。

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情報がないから悪い、とは言えない

最初に書いたとおり、母犬を載せていない理由はさまざまです。サイトの更新が追いついていないだけの犬舎も多いですし、そもそも問い合わせがあれば全部答えるつもりでいる方もいます。

ですから、サイトを見た段階で判断しないでください。判断するのは、聞いてみたあとです。

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生まれてきた背景まで含めて選びたい

子犬を選ぶとき、目に入るのは毛色と価格と顔立ちです。それは当然のことだと思います。私もそうでした。

ただ、その子には必ず母犬がいて、産んだ場所があります。そこまで含めて納得してから迎えられたら、その後の暮らしも少し違うのではないかと思っています。

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