フレンチブルドッグをお迎えしようと思ってペットショップやブリーダーのサイトを見てみると、同じ「フレンチブルドッグ」なのに、価格が20万円台の子もいれば、40万円、50万円を超える子もいることに驚くと思います。実はこの価格差、大きく影響しているのが「毛色」です。
今回は、フレンチブルドッグの毛色の種類と、それぞれの値段の傾向について整理してみます。
フレンチブルドッグの基本4色
1. ブリンドル(Brindle)
黒をベースに、明るい差し毛が縞模様のように入る毛色です。フレンチブルドッグの中でも最もオーソドックスな色とされていて、差し毛が多く全体的に明るく見える「タイガーブリンドル」、逆に黒が濃い「ブラックブリンドル」など、同じブリンドルでも個体差が大きいのが特徴です。
価格帯の目安:オス22万円〜30万円、メス24万円〜32万円ほど
2. フォーン(Fawn)
子鹿のような、ゴールド系の毛色です。顔だけが黒っぽくなる「ブラックマスク」タイプは特に人気があり、海外では”Kabukiface(歌舞伎フェイス)”とも呼ばれています。ここ10年ほどで日本でも人気が高まってきた毛色で、優良ブリーダーによって熱心に繁殖されてきた経緯もあり、他の毛色と比べて皮膚トラブルが少なめとされています。
価格帯の目安:ブリンドルとおおむね近い水準、人気の高い個体はやや高め
3. パイド(Pied)
白地に、黒やフォーンの模様がまだら(ぶち)に入る毛色です。左右非対称の模様や、片側だけ色が違う個体などバリエーションが豊富で、チャンピオン犬の血統を引く個体も多く、4色の中で最も価格が高くなりやすい傾向があります。
価格帯の目安:平均29万円ほど(オス27万円、メス31万円)。人気の高い個体は50万円に達することも
4. クリーム(Cream)
名前の通り、クリーム色の単色の毛色です。パイドと並んで人気・相場ともに高めの傾向にあります。
価格帯の目安:パイドに近い水準、個体によっては高値がつくことも
4色以外の「レアカラー」について
近年、ペットショップやSNSでは、ブルー・マール・チョコレート・ライラック・イザベラといった、上記4色以外の毛色を持つフレンチブルドッグも見かけるようになりました。これらは希少性から非常に高値で取引されることがあります。
ただし、これらのレアカラーには知っておいた方がよいポイントがあります。
- 多くはJKC(ジャパンケネルクラブ)の犬種標準として認められていない毛色です
- 「マール」や「ブルー」のような色は、遺伝的に毛色を薄める遺伝子(希釈遺伝子)によって生まれますが、この遺伝子は皮膚トラブルなどと関連があるとされています
- 特にマール同士の交配(ダブルマール)は、聴覚・視覚障害のリスクを高めることが知られており、責任あるブリーダーの多くはこの交配を避けています
「珍しいから」「SNS映えするから」という理由だけで選ぶのではなく、その毛色がどのように生まれた個体なのか、ブリーダーがどのような繁殖方針を持っているのかを確認することが大切です。
毛色別・価格帯の目安まとめ
| 毛色 | 特徴 | 価格帯の目安 |
|---|---|---|
| ブリンドル | 黒ベースに縞模様、最もオーソドックス | 22万円〜32万円 |
| フォーン | ゴールド系、ブラックマスクが人気 | ブリンドルと同水準〜やや高め |
| パイド | 白地にまだら模様、血統重視の個体が多い | 27万円〜31万円、高値では50万円台も |
| クリーム | クリーム色の単色 | パイドに近い高めの水準 |
| ブルー・マール等(レアカラー) | 希釈遺伝子による特殊な毛色 | 高値だが健康面の考慮が必要 |
毛色だけで選ばないために
もちろん、どの毛色を選ぶかは完全に好みの問題で、正解はありません。ただ、価格差の背景には「人気・希少性」だけでなく「血統」や「健康面のリスク」といった要素も関わっていることは、ぜひ知っておいてほしいと思います。
このサイトのブリーダー比較でも、毛色を絞り込み条件の一つとして設定していますが、あわせて「健康管理体制」や「アフターサポート」の項目も一緒に見比べてみることをおすすめします。
参考文献・出典
本記事のうち、犬種標準および毛色に関わる遺伝の記述は、以下の資料を参照しています。
犬種標準
- 一般社団法人ジャパンケネルクラブ「フレンチ・ブルドッグ」犬種標準
認められる毛色の範囲、鼻の色に関する規定、ホワイト一色の個体と難聴のリスクについての記載があります。 - Official Standard of the French Bulldog(American Kennel Club・PDF)
アメリカの犬種標準。認められる毛色はホワイト、クリーム、フォーンとその組み合わせで、ブルー、ブルーフォーン、リバー、マールなどは失格と定められています。 - Interpretation of the French Bulldog Standard on Color(French Bull Dog Club of America)
アメリカのフレンチブルドッグ専門クラブによる毛色の解釈。ブリンドルの濃淡やパイドの扱いなど、判断の基準が具体的に書かれています。
マール遺伝子とダブルマール
- American Kennel Club「Merle in Dogs: The Science Behind This Unique Coat Pattern」
マール模様がSILV(PMEL17)遺伝子への挿入によって生じること、マール遺伝子を2つ持つ個体で難聴のリスクが大きく上がることが解説されています。 - Clark LA, et al. Retrotransposon insertion in SILV is responsible for merle patterning of the domestic dog. PNAS. 2006
マールの原因遺伝子を特定した研究。マール遺伝子を1つ持つ個体、2つ持つ個体のいずれでも、聴覚と眼に幅広い異常が見られると報告されています。 - Strain GM, et al. Prevalence of deafness in dogs heterozygous or homozygous for the merle allele. J Vet Intern Med. 2009
複数犬種のマール犬153頭の聴力を検査した研究。難聴の割合は片耳4.6%・両耳4.6%で、マール遺伝子を1つ持つか2つ持つかで有意な差があったとされています。 - OMIA(Online Mendelian Inheritance in Animals)「Coat colour, merle in dog」
マールに関する研究の一覧。原因となる変異の特定や、外見では判別できない「隠れマール」の症例などがまとめられています。 - 「ミニチュアダックスフントで確認されたSILV遺伝子へのSINE insertionを有した雑種犬の1例」動物臨床医学
日本語で読める症例報告。マール遺伝子が眼疾患や難聴を引き起こしうること、外見では判断できない個体が存在することが述べられています。 - Australian Shepherd Health & Genetics Institute「Merle & Health」
マール遺伝子を2つ持つ個体では眼の形成異常がほぼ確実に起こり、内耳の色素欠如による難聴も見られることが解説されています。
難聴の発生率は、研究や対象犬種によって数値に幅があります。ダックスフンドを対象にした研究では半数近くという報告がある一方、複数犬種をまとめた研究では1割に満たない結果も出ています。「必ずこうなる」と言い切れる数字ではない、という点も含めて知っておいてください。
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